登記義務者が海外在住の日本人の場合の所有権移転登記申請方法について2パターン考えられる。
①登記義務者から委任状をもらう
署名証明書
日本以外のほとんどの国では印鑑証明の制度がないため、印鑑証明書の代わりに添付する。
元本還付不可。期限の定めなし。
在外公館の領事等による署名証明で「直接証明方式」、「間接証明方式」の2つの形式がある。
直接証明方式は、署名する必要のある書類を在外公館等に持参し、領事等の面前で本人であることを証明、
当該書類の署名をし、領事等がその事実を証明する奥書または証明書の合綴を行うというもの。
当該書類を誰が作成したかを証明するもの。(私署証書認証方式とも呼ばれる)
間接証明方式は、署名を単独で名義人本人のものである旨を証明する方法。
署名する必要のある書類と独立した証明書であるため、書類の作成が未了でも取得することができる。
署名の筆跡の照合は困難であり、提出先によっては署名した書類の筆跡と署名証明書の筆跡の同一性が認定できないと判断される場合がある。近年の東京管轄の法務局では、間接証明方式で問題なく通っているようだが
直接証明方式が用意できるのであればそれに越したことはない。
また、直接証明方式で行う場合、証明する委任状の日付が売買の日付よりも「前」の場合は法務局に事前に相談したほうがよい。
※すべての登記事項が委任状に記載されている場合は登記原因より前の日付であっても問題ない(月報2013.11(No.510)53項)
在留証明等の住所を確認することができる書類
平成21年4月1日〜署名証明書の様式変更に伴い、住所の記載がされないこととなった。
これにより、登記義務者となって登記申請する場合等登記義務者の同一性を証する必要がある場合、
別途、在留証明等の住所の確認できる情報の提供を要する。(登記研究855・令元.5)
在留証明「等」とのことなので本人確認資料でも問題ないと思うが、当該資料が日本語でない場合は翻訳が必要になる可能性がある。
また、宣誓供述書(住所記載あり)を使用した際に、登記簿上の住所と「記載」が異なっていたケースで
法務局に事前相談をかけたところ、住所更正登記をいれるよう指示が入ったことがあるようだ。
宣誓供述書の記載には道路の記載省略、登記簿上の住所には道路の記載あり、というような差異だったかと思う。
したがって在留証明等の住所の確認できる情報と、登記簿上の住所の記載と比べ、抜けや漏れがあった場合は注意が必要である。
委任状、登記原因証明情報
拇印(署名証明書の指で押したもの)と署名をもらう
②登記義務者の代理人から復代理の委任状をもらう
包括委任状+署名証明書(合綴のもの)
「所有権移転登記手続き及び復代理人の選任」の記載がある委任状を代理人がもらっている場合
復代理委任状
復代理人の印鑑証明書の添付は不要なので実印でなくて問題ない。(規則49Ⅱ⑤)
登記原因証明情報も代理人からもらう。
犯罪収益移転防止法に基づく海外在住日本人の本人確認資料
Q 国際運転免許証(国外運転免許証)は自然人の本人確認書類に当たるのか?
A 当たる
そのほかの顔写真付き公的書類またはそのほかの顔写真なし公的書類として本人確認資料に当たる。
Q パスポートは本人確認書類に当たるのか?
A 住所の記載(自署も可)があれば、運転免許証等顔写真付公的書類として本人確認書類に当たる
住所については旅券の法定記載事項ではないため、住所の記載のないものは本人特定事項のすべてを確認できず
本人確認資料としては認められないが、所持人記入欄に住居が自署されている場合には、本人確認資料として
認められることにとなる。(2020年2月4日〜 所持人記入欄は削除された)